土屋 全徹

MADE in


代々寺を継いでいる家系の分家に生まれた私は、兄と二人で山へ修行しにいくことになった。しかし、娯楽もなく、常に監視された中で、これまでの常識が通じない閉鎖空間に耐えきれず、山を降りてしまった。
寺を継ぐ問題をきっかけに、私と家族との関係が大きく変わった。祖父とは完全に師匠と弟子の関係になってしまった。私の中にあった家族や普通という概念が、ひどく脆いものだと感じた。
家族や育った環境を見つめ直すために、家に眠っていたアルバムを取り出し、自身を構成しているものを可視化しようと考えた。自分が覚えている家族との出来事、意識していなかった状況(法衣を身につけた住職としての祖父の姿など)を写した写真を混ぜ合わせてみた。
壁の左側の写真には、修行道場の休憩所から見える階段が写っている。それは山から外の世界へと通じている。一度修行から逃げれば、また出家をすることは叶わない中で、どれだけの修行僧たちがこの階段を登り、逃げたのだろうか。
彼らや私は、何から逃げたのだろうか。